良い絵本とは、世代を越えて読み継がれていくものなのではないでしょうか。そんな「良い絵本」「愛される絵本」とは、どういうものなのでしょうか。下記のような視点から改めて、自分が今まで読んできた絵本、好きな絵本を読み返してみるとよりよいオリジナル絵本の作成に向けての礎となることでしょう。
◆文と絵の意図がうまくかみ合っている
絵本の絵は、文を解説したり、話の足りない部分を説明するために描かれているわけではありません。絵本の絵は、物語る絵であること、つまり話の精神、話の心を表現するものです。ですから、絵本を描く人は、作品を読み込み、話が示す精神、作者の伝えたかったメッセージをしっかりと把握し、それを的確に、そして具体的に表現できる心と技術が必要とされます。話に込められたメッセージを絵で表現し、読者に伝える、この連携がうまくいっている作品は、心に残る1冊になります。
◆色彩が話のトーンと合っている
絵本では、配色によって画面のイメージは大きく変わります。静かな話の展開に、派手な絵をつけては、台無しになってしまいます。そんな場合には、やはり静かな色を基調としたいところです。話に絵を描くときに、基調となる色は自然と決まってきます。森なら緑、海や空なら青が基調となりやすい色です。でも、それだけでは絵本が単調になりやすいので、ときには読者をあっと言わせるような色の展開、アクセントカラーやポイントカラーを上手に使いたいものです。配色の基本や色彩心理などをマスターして、上手に色を扱えるようになりましょう。
◆文と絵が響き合ってめくりの効果を生んでいる
文だけだと、どんな絵本なのかまったく想像がつきませんが、絵が入ることで、文はイキイキとし、次は、次はと読者を駆り立て、ページをめくらせます。このような文と絵が響き合って、ページをめくらせるおもしろさを持った絵本は、子供たちに愛される絵本の代表といえます。
◆余白を活かしている
絵本では、絵を描かない部分、つまり白が必要とされることがあります。絵本の場合は、あまり画面全体を塗りません。さまざまな絵本をよく見て、白の活かし方を研究してみてください。もし、ページ一杯に色が塗られているのなら、それが最大の効果をあげているかどうかを考えてみましょう。1枚絵を学んだ人などは、とにかく画面一杯に絵を展開させたくなるようです。文字がすっきりと入るように画面を構成し、絵と文がケンカしたりしないように注意しましょう。